# 質疑応答 倉澤 研究の想定しているスコープは顧客ゾーンみたいな広い範囲を想定しているのかと思った.最後に補足があって,所得でも分類してもいいんだなと.ゾーンにいる人たちがそれぞれ1つ施設を選ぶのか. 佐野 Qというそれぞれのゾーンへの入力の数があるが,これ以上の説明がない.恐らく,ゾーンの中にいる人みんなではないか. 倉澤 正確な人数ではなく,想定需要が分かれば人数の推計はできる.人口推計から取り出すと比率レベルを扱った最適化問題になるということ? 佐野 そうだと思います. 倉澤 あと,計算手法の1つ目と2つ目で,1つ目は性能が今回はあまりよくなかったとのことだが考察はあったか? 佐野 理由についてはAppendix含めあまり説明なかった.実験結果として,Heuristicの性能が悪い理由は述べられていたが,円錐再定式化とMOAの差については述べられていなかった. 増田 加法型のやつと乗法型のやつを比較して,近似できることを示していてよかった.乗法型の方はlogみたいな形で個数が増えるほど,効果が漸近していくんですよね?結構最初の方は違いそうだけれども.それぞれパラメータの色は対応しているの? 佐野 パラメータが無作為に決められているということで,色の対応はしてそうだけど確信はない. 増田 コストが小さいところだと乖離があるのではと思うが,このコストは人工的な値,適当に決めたものだから...まあ次のページで見ると,何をしているんでしたっけ? 佐野 加法型の方でxjを変化させたときのxjとその結果得られた確率をたくさん記録してプロットしたのが左の図,右の方は乗法型のxjと確率の組を作ってプロットしたもの.フィッティングを双方からやってる. 増田 観測が加法型だったとき,乗法型で近似できるのかというのと,その逆をそれぞれ確認して問題ないことを示していると.これくらいの差で近似できていて,しかも凸で厳密な解が精度よく求まるのならいい方法だと思いました.倉澤くんが言っていたようにセグメンテーションというか人によって選好が違う,人によってゾーンを分ける.ゾーンNにいる高齢者の選択モデル,若者の選択モデルにわけて,仮想的なゾーンを定義してあげれば,個人属性も見れるのでいいんじゃないかと思いました. 加藤 チャットで不動産収益最大化に向いていると指摘があった.自分の研究でも立地選択みたいなものをやっていたので参考にしたい. 羽藤先生 佐野さん,敵対的強化学習って知ってますかね. 佐野 識別器と生成器で競争するやつですか. 羽藤先生 おーすご,見直したわ.最適解求めるときに生成系の敵対的強化学習でやっちゃだめなの? 佐野 解法のところですか.確かに論文通して,生成と識別の可能性もあるかも. 林 ある程度Heuristicな解は出るとは思う.厳密解が出るかというと違う気がする.凸性を活かすのであれば厳密解までいってほしい. 羽藤先生 そうね,厳密解ではない.識別器を競わせると,どんどんlossが少なくなっていきはするけどね. 林 機械学習の劣モジュラ最適化みたいなものもありますけど,王道すぎるかなと思います. 羽藤先生 加藤さんが土地取引やってるけど,あれとこれを組み合わせると,立地の最適解とパラメータをそのまま同時に敵対的逆強化学習で解けるんでは. 林 MRUMでやってみたら学習が安定していい方向に進むかもしれない.自分の質問としては,MRUMが昔から流行っていたものなのか,それとも最近のモノなのかが気になる. 佐野 著者は新規性をアピールしている.ただし,Maximum Capture Problemの文脈ではじめてということ. 羽藤先生 モデルは昔からあります.みんなこういうことを考えるんですよ.僕ですら考えたことがあって,論文をみるとおおーーと思う.ただ,一般的には普及しない. 林 普及しないのはなにかデメリットがあるんですか? 羽藤先生 うーん.加法型の方が普及しましたね. 林 元の中心極限定理に沿っているのは加法のほうだからですかね. 羽藤先生 積だけで表現できるのに対して,ARUMはスケールパラメータを考えるとより汎化性が高そうな気はする.大山先生はG関数とかやってましたけどどう思いますか. 大山先生 この最適化問題にはいいんじゃないかと思う.立地の問題だから目的地選択モデルになるからどうなるのだろうと思います. 羽藤先生 確かにそうですね.なるほど. 大山先生 観測されていることのレンジが大きくなると,近似誤差は出てきそうだなと思うので,どっちがどういうときにいいのか. 羽藤先生 そうねえ.まあ面白んですけどね.目から鱗みたいな感じがする. 大山先生 最適化ではいいとおもいます. 羽藤先生 最適化の観点でいいというのは意識したことがなかったのでべんきょうにはなる.Anthony Chenがやってるんだ. 大山先生 最近結構こだわってやってるようです.Maiさんぽい感じ. 渡邉 スライド8を見た時からMRUMがいいんじゃないかと思ったが,途中で比較がはいって,ん?と思った.比較しないんでいいのでは?ARUMを意識していて,ARUMに戻すべきなんですかね.GEVを使うべきと書かれていたので.個人的には効用関数の仮定が違うので別種のモデル,比較せずに普及するようにしていけばいいんじゃないか?ARUMは研究において主流で意識せざるを得ないのか.それともMRUMは別のモデルとして開発が進んでいくのか? 佐野 そこまで把握できていない.レビュー部分では,著者はMCPという施設配置問題を主軸にしている.MRUMを使ってみよう感じで,MRUMの普及には主眼を置いていなさそうな感じがする.最適化するのに便利だから使いましたというスタンスだと思われるので,現在のMRUMがどういう捉えられ方で,研究分野としての発展の観点からは読み取れない. 渡邉 MCPの文脈だと,MRUMの解釈に問題がないという研究があるとがっと広がるのではないか.交通に分野では通常のランダム項を置いた効用関数が分かりやすくて受け入れられているが,MCPの文脈だと乗数でもいいという研究があるといいなと思いました. 羽藤先生 ARUMとMRUMのどっちがいいでしょうか? 小川 目的によって良さがあるような気がします.自分が使っているのがARUMなので,MRUMの考え方で今回は最適化の文脈なのでxとyの取り方が違うが,推定などでの性質,説明変数と誤差項の関係が違いそうな気がするので,文脈次第でどっちが向いているかがあると思います. 増田 MRUMをはじめて見たので,古い方に心は惹かれますが,G関数からの導出やネストにするとかの蓄積が大きいのはARUMだし,Mixedで考えるとどうなるのか気になります.吸収して行こうと思います.今はまだARUMで. 大山先生 機械学習でもsoftmaxが出てくる.そういう意味では新しさもある. 羽藤先生 expが入っている式形めっちゃつかってるもんね.機械学習だから王道.操作性が抜群に良い. 大山先生 物理の理論と関連する. 羽藤先生 佐野さん,よく調べてくれてありがとうございました.分かりやすかったです.