社会学的な発想やパワー概念よりも、グラフ理論的な定式化により持たされたモデルといえる。次数センター、グラフ・センター、メジアンは距離に基づいた中心性で、切断センター、媒介センター、フロー・センターは脆弱性に基づいた中心性である。
次数センター
点vの次数deg(v)がそのまま中心性の尺度とみなされる。グラフの点の数がNの場合、次数中心性Cdは
Cd(v)=deg(v)/(N-1) となる。
グラフ・センター
点vの離心数(e(v))とは、点vから最も遠い点までの距離である。グラフにおいて、すべての離心数のうち一番小さいものを半径(r(v))といい、最長のものを直径(d(v))という。
e(v)が半径と一致するとき、vは中心点であり、e(v)が直径と一致するとき、vは周辺点という。
メジアン
連結グラフGにおいて点vのステイタス(s(v))をvから他のすべての点までの距離の総和と求める。最小のステイタスをもった点をメジアンと定める。
また、近接中心性はステイタスの逆数として定義され、Gの点の数がNのとき、ある1点から他の1点までの距離の最長値はN-1であることを考慮し、近接中心性は[s(v)/(N-1)]の逆数として定式化される。
切断センター
これは、そのノードが除去された場合、他の関係が切断されてしまうノードほどネットワークにおける中心性が高いという考えに基づいている。
u,v,w∈Gにおいて、切断数c(v)は、G-v(連結グラフGのうちvを除いたグラフ)の異なる成分の中にある点対{u,w}の数とする。
媒介センター
媒介(仲立ち)的な役割を果たすを度合いを測るために利用される。
点i,jに対して、点vのi-j媒介値bij(v)とはi-j測地路の総数に対する点vを含むi-j測地路の比率である。vの媒介値BC(v)は全ての対i,jに対するbij(v)の総和である。
フロー・センター
フロー・センターは、媒介センターを有値グラフに対して拡張するものである。測地路の総数を総フローに置き換える。
ネットワークにおいて中心性が高いということは、グラフ的に特別な位置にいるということだけでなく、誰に結合するかにも依っていると考えるのが地位中心性モデルの考え方である。
カッツは「選択される人のランクが高いほど、またランクの高い人と直接結合しているほど、その人の地位が高くなる」ということをモデル化するため、直接的な結合を高く、間接的な結合を低く重みづけるようなパラメータαを導入し、定式化した。また、ハベルはこれに選択強度の違いを加えた定式化を行い、これはダイグラフでも扱える。
ボナチッチはソシオマトリクスの固有ベクトルにより中心性ベクトルを求める方法を考案した。固有ベクトルにより行と列について標準化している点が特徴的であり、ハベル中心性と類似している。
2ステップの中心性を考えた時に、中心性の獲得には、間接的な結合により他のアクターから中心性を引き出す導出中心性と、直接結合するアクターから反射的に戻ってくる反射中心性の二つがある。反射中心性の高いものをハブ、導出中心性の高いものをブリッジと分類できる。
ボナチッチモデルを否定する「必ずしも構造的な中心がパワー(利得)を獲得していない」という状況が発見され、これに対し、正結合ネットワーク(一方の関係の交換が他方の関係の交換を促進する場合)、負結合ネットワーク、混合ネットワークというようにリンクにも違いがあることを考慮にいれ、ボナチッチ第2モデルが提案された。
情報や病理の伝搬性に着目し、新たに登場したモデルである。
他の点を経由するほどノイズが増え、情報量が減ると考え、道の長さによって情報量を定式化し、情報に各点が関わる度合いを測定する。
統合性モデルはダイグラフの入次数に基づいて測定し、そのアクターの受理がネットワークに統合している程度を示す。アクターvの統合性I(v)は逆距離RDuvを
RDuv=[ネットワークの直径]+1-[uv間の測地線の長さ]
とおき、逆距離の和をN-1(Nはネットワークのアクター数)で割ったときの値である。
放射性モデルはダイグラフ出次数に基づいて測定され、アクターが多種多様なアクターにアクセス可能なネットワークに到達しているかを示す。統合性モデルの逆概念なので、転置した行列を用いて、統合性モデルと同様の計算をすればよい。
個々のアクターの中心性ではなく、集団の中でのアクターの中心への偏向を尺度化する。
これは、グラフGにおいて、グラフの中で中心性の最大値から各アクターのもつ中心性を引き、その偏差の和を考えることで求める。
また、これとは別に下位集団中心性というものがあり、これは下位集団が外集団に関わる度合いとしてモデル化される。
・離心数 eccentricity
・媒介値 betweeness value
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