11 第23回行動モデル夏の学校2024 [ Behavior Modeling ]


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第23回行動モデル夏の学校2024は、対面形式を基本としながらzoomを併用したハイブリッド形式にて、2024年9月11~13日にかけて行われました。

このセミナーでは、ネットワーク上の選択理論の基礎となる行動モデルとフローモデルの講義を下敷きに、スマートフォンによるプローブパーソンデータを用いたプログラミングスタディにチームで取り組みます。都市計画や交通計画、土木計画における立地選択、目的地選択、経路選択、交通手段選択などの様々な需要予測の中での位置づけと事例紹介を行ったうえで、道路空間の再配分や観光、中心市街地再生、マーケティングなどへの応用と、プローブパーソン調査などの新たな行動調査とデータプラットフォーム手法についての最新事例を学びました。以下にその内容をまとめます。

The special seminar was held during this summer (Sep. 2024). This series of 3 days lectures and exercises will be an insight in Model Estimation. This annual event has been held since 2002 and this is the 23rd time. Outstanding researchers showed the case studies on demand estimations of location choice, route choice, and transportation mode choice used in the fields of: Civil planning, Urban planning, and Transportation planning. We learned the brand-new methods of individual behavior survey like Probe Person, and thought about how to apply it practically in real world such as: Redistribution of Road Usage, Tourism Planning, Renewal of City Central Area, and Marketing optimization.


特別講義 Special lectures /基調講演 Keynote lectures / 講義 Lectures / 研究奨励賞受賞者講演 Invited lecture / 演習 Group work / 表彰 Award


基礎講義 Keynote Lecture


佐々木邦明(早稲田大)
行動モデルの基礎:推定の方法

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柳沼秀樹(東京理科大)
行動モデルの応用:応用的推定の発展

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井料隆雅(東北大)
ネットワークモデルへの展開:均衡の概念

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中西航(金沢大)
ベイズ統計の導入と行動モデル

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小川大智(東京大)
若手発表:敵対的逆強化学習と行動的均衡

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招待講義 Invited Lecture


毛利雄一(IBS)
私と行動モデル

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英語セッション English Session


Jana Arnab(IITB)
Behavior Modeling

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Giancarlos Troncoso Parady (UTokyo)
Making your model useful for policy makers

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日本語版スライド


Junji Urata (UTokyo)
Statistical Estimation with Machine Learning

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Yusukue Hara(Tohoku University)
Behavioral Mechanism Design

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Kenan Zhang (EPFL)
Keynote Lecture: Advanced Optimization of New Public Transportation

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BinN Awards Ceremony


Makoto Chikaraishi (Hiroshima University)

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演習 Group work


課題:プローブパーソンデータを用いた行動モデル推定
プローブパーソンデータ(ロケーションデータ、ウェブダイアリー)・土地利用データ・交通ネットワークデータを用いて、離散選択モデルをはじめとした行動モデルの構築と推定をグループごとに行い、成果を発表しました。



01.個人A   pdf

発表概要:空間的異質性を考慮した上で、ワクチン接種有無が公共交通選択するかどうかに影響があるかを調べた。ワクチンの効果は場所の混雑度合いによって変化すると考え、空間で階層分けをする空間階層ベイズを採用した。夜間人口が少ない二つのグループに比べ、夜間人口が最も多い地域では、ワクチン接種が公共交通選択確率を5%だけ正に増やすことが分かった。ワクチンが有限である場合に、人口が多い地域に配分することは、感染リスクの観点だけでなく、交通選択の観点からも正当化できることが分かった。今後はワクチンを人口密度の高い地域に振り分けるために、人口が少ないグループがいくらお金を貰えれば公平だと考えるのかという配分(コア配分)を見つけたいと考えている。

感想:個人チームということもあり、演習当日まで対面で議論できない難しい状況でしたが、メンバーそれぞれが出来ることを行い、結果をまとめるまでに至ったのはいい経験になりました。行動モデリングでは、各自の専門を生かした変数選択をすることができ、前提知識や経験が異なる点を活かして総合2位を獲得することができました。



02.UCP   pdf

Summary:The presentation titled "Modeling Mode Choice Sensitivities: Analyzing the Influence of Transport Attributes on Ridership Using Multinomial Logit Model" examines how transportation attributes affect ridership choices across different modes. The team, including Muhammad Umer Karimi, estimated parameters using MNL models to assess mode sensitivity and understand the effects of altering public transport attributes like fare and time. Data from Shibuya and Ojima regions were analyzed, and policy implications were drawn, such as how reducing train fares influences ridership shifts across modes like bus, car, and walk

Comment:In this presentation, we aimed to highlight the complexities of mode choice behavior using the Multinomial Logit Model. One of the key takeaways was the sensitivity of ridership to changes in attributes like fare and time. Our analysis showed how even small adjustments in these factors can significantly impact the likelihood of choosing specific modes. The models for Shibuya and Ojima provided valuable insights into local transportation patterns, supporting data-driven policy decisions. While the models performed well, further refinement and integration of additional variables could improve prediction accuracy.



03.IITB   pdf

Summary:The study aims to assess travel behavior for work-related trips by analyzing the spatio-temporal variation of trip purposes and validating these observations through activity-based modeling. A detailed analysis is conducted on mode choice preferences for work trips, with particular focus on how trip attributes influence car ownership. Two distinct models are developed: one treating car ownership as an independent variable, and the other as a dependent variable, minimizing the risk of endogeneity. Key findings reveal a post-COVID-19 increase in telecommuting, a significant promotion of active mobility through reduced walking times, and the necessity of shorter train travel times to improve public transit ridership.

Comment:The panel recommends treating trains and subways as a single entity for analysis. Additionally, to better understand the broader impact of COVID-19, the panel suggests including activities beyond work-related trips in the study. This wider scope will provide a more comprehensive view of travel behavior during and after the pandemic.



04.愛媛大   pdf

発表概要:

感想:



05.広島大   pdf

発表概要:

感想:



06.金沢大   pdf

発表概要:歩行者が交差点間の対角の位置に向かうときには,先に横断歩道を渡るのか,後で横断歩道を渡るのかという2択が存在する.我々はこの2択に着目して,二項ロジットモデルを構築した.変数には”日陰率”を導入し,歩行者は日陰が多い歩道を選びやすくなるのではないかという仮説のもとモデルを構築した.その結果,日陰率が有意に正の影響を与えており,歩行者がより日陰の多い歩道を選択している可能性が示唆された.

感想:暑い日には,多くの人が自然と日陰を選ぶことが多いという日常の気づきから,今回の行動モデルを着想しました.日陰率や木の本数といった変数の準備には苦労しましたが,講義を通して非常に有意義な時間を過ごすことができました.この場を借りて,講師の先生方や運営の皆様に心より感謝申し上げます.



07.東北大   pdf

発表概要:観光行動調査結果から,制約時間の中で複数の観光地への時間配分を行うMDCEVモデルを構築し,観光客や観光地点の属性と観光行動の関係を調べた.特に観光目的が対象の観光地への滞在時間にどのように影響するのかについてモデル化を試みたが,MDCEVモデルで時間配分の変化を見るためにはシミュレーションベースの手法が必要であり,政策分析までは行えなかった.

感想:テーマ決めや滞在データの構築などに時間がかかってしまい,満足のいく分析を行うことができませんでした.最終発表では,基礎集計から政策分析まで完成度の高い発表をしているチームが多くありとても刺激を受けました.今回学んだことを自身の研究にも活かしていきたいと思います.エスキースでアドバイスいただいた先生方,運営の皆様ありがとうございました.



08.熊本大学   pdf

発表概要:近年若者を中心に外出率が低下していることに注目し,豊洲PPデータを用いて,通勤距離や活動時間など平日の行動が,休日の購買行動に与える影響について分析を行いました.

感想:テーマの具体的な方向性がなかなか定まらず苦戦しました.今回はB4のみでの参加ということもあり,モデルづくりなど満足できる結果に至りませんでした.来年は今回の経験をもとに,モデル推定やさらに飛躍的な問題に取り組めるように頑張ろうと思います.運営の皆様や,ご指導いただいた先生方に感謝申し上げます.



09. 名古屋大   pdf

発表概要:この発表では、松山市中心市街地で頻発する交通渋滞の問題を分析し、迂回率を定量的に評価しました。そして、線形回帰モデルを用いて、迂回に影響を与える要因を明確化し、特定の属性や行動パターンが渋滞回避にどのように関与しているかを解明しました。最後に、駐車場の整備やロードプライシングなどの政策提言を行い、渋滞を緩和するための具体的な解決策を提示しました。

感想:今回の演習では、技術的スキルに加え、テーマ設定やデータの読み取り能力、政策立案のプロセスを伝える力が求められると感じました。単にデータを分析するだけでなく、その結果を社会的問題解決にどう結びつけるかが重要で、深い考察が必要だと実感しました。また、他チームの発表から多くの学びがあり、異なる視点や分析手法に触れることで、非常に刺激を受け、今後の取り組みに活かしていきたいと思います。



10.山梨大   pdf

発表概要:

感想:



11.筑波大   pdf

発表概要:松山市中心部における都市整備が行動手段選択に与える影響の分析を行いました。空間への印象コメントと位置情報をもつデータの自然言語分析をMecabにより行い、コメントのポジティブ・ネガティブ判定を行いました。その判定を道路リンクと結びつけ、交通手段選択に与える影響を明らかにしました。

感想:今回、初めて筑波大学チームとして参加させて頂きました。行動モデルについての知識や経験を深めると同時に、この分野のコミュニティに参加することが出来て嬉しく思います。分析に関しては不慣れな部分が多く、苦戦することが多かったですが、チームとして一致団結して乗り切ることが出来たと思います。来年はチーム一同、一回り成長した姿を見せられるよう精進します。



12.芝浦工大A   pdf

発表概要:

感想:



13.芝浦工大B   pdf

発表概要:

感想:



14.東京海洋大   pdf

発表概要:

感想:



15.東工大   pdf

発表概要:江東区が目指す「コミュニティサイクル利用者増加による環境負荷低減と周遊性の向上」のための政策を分析したしました。分析においてはシェアサイクルのポートに着目し、ポアソン分布とネステッドロジットモデルを用いました。その結果、現在存在するポートを十分な容量に拡張することでシェアサイクル利用数が1.4倍に増加することが予測できました。

感想:わたしたちはM1とB4の5人で参加しました。行動モデルを専門とするメンバーがいない中、演習では困難もありました。しかし、エスキスの先生方のアドバイスと班員の協力により、2位という成果を得ることができました。今回が東工大としての最後の参加となりましたが、東工大らしい発表ができたと自負しています。運営の皆様、講義・アドバイスをいただいた先生方に心より感謝いたします。



16.東京理科大   pdf

発表概要:暑い夏が続く昨今、徒歩で移動する際に日陰を積極的に選んで歩くことも多いと思います。そこで私たちは、豊洲地区を対象に日陰の有無を取り入れた経路選択モデルを構築しました。日陰の有無に関しては、デジタルツインの技術を使って実際に描画することで、モデルに取り入れる変数を作成しました。

感想:今回はm1,m2で出れない人が多く、B4中心のチームでの挑戦となりました。最初に回そうとしていたモデルが回らず、提出直前になってスライドの差し替えをした時には正直とても悔しかったですが、まさか賞までもらうことができて、難しいモデルにチャレンジした甲斐があったと思いました。来年も受賞目指して頑張ります!



17.早稲田大A   pdf

発表概要:

感想:



18.早稲田大B   pdf

発表概要:

感想:



19.早稲田大C   pdf

発表概要:

感想:



20.東大羽藤研M1   pdf

発表概要:

感想:



21.東大羽藤研B4   pdf

概要:

感想:



23.東大福田研   pdf

概要:混雑課金制度そのものの特性に着目し、異なる社会属性を持つ人々の不利益の評価というテーマのもと、与えられた豊洲のデータをもとにケーススタディとして分析

感想:行動モデルに向き合う中でメンバーのことをより知ることができて楽しかった.データが限られている中で,どのように有意義な分析ができるかというところに頭をひねらせるのは楽しかった.




表彰 Award

行動モデル夏の学校には例年、数理的にモデリングをつめられていたグループには、故・上田孝行先生にちなんだ香住賞が、行動分析によって興味深いfact findingを実現したグループには、故・北村隆一先生にちなんだDavis賞が送られます。今年度の受賞チームは以下の通りです。

香住賞:該当なし


Davis賞:16.東京理科大


総合1位:11.筑波大

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